「……、やっぱりここにいたのか」
「見つかっちゃった……」
「『見つかっちゃった……』じゃねぇ!お前あれだけサボるなって言っただろうがっ!」
「だってぇ……」
「今何の時間だ?」
「……すーがく?」
「苦手教科は?」
「……数学」
「はぁ……」

目の前にいる奴に俺は大きな溜息を一つ付いた。
こいつは所謂“サボり魔”だ。
彼氏であり、生徒会長である故の教師共の信頼がある俺はこいつがサボる度に授業返上で探しては教室に連れ戻す。

。俺、今朝言ったよなぁ?」
「……」
「今日はサボるなよ、と言ったよな?アーン」
「……言われた記憶ないもん」
「おまっ……!!」

サボり魔――はふいっと俺から顔を背けて、ギュッと抱え込んでいた自分の膝に頬を乗せる。俺は再び大きな溜息を付いて、彼女の頭を撫でた。

「おい、。お前何でサボってんだ?」
「……だってぇ」
「お前他の授業はちゃんと出るのに数学だけ出ねぇだろ?」
「……ぃなんだもん」
「あン?」
「だって、嫌いなんだもん」
「あのなぁ……」

は顔を背けたままボソボソと話した。

「他の教科は7割超え確実っつーのに数学だけ毎回3割以下。よくここまで進級出来たな」
「だってわからないのっ!」
「授業出ねぇからだろ?」
「……うぅー、返すお言葉もございません」
「……ったく」

また逃げようとするの手を片方の手で握り、もう片方の手で後頭部を押さえそのまま彼女の唇を塞ぐ。

「んっ……。景吾はさ、何でも出来るから分からないんだよ」
「……」
「分からないのに出ても面白くないもん。……ついでに先生も嫌いだし」

再度ボソっと呟いたの額に自分の額をコツンとぶつけて俺はそのまま彼女に話した。

「……なぁ、
「んー?」
「お前何か忘れてねぇか?」
「え?」
「お前の彼氏ってやつは誰なんだよ?アーン?」
「え、景吾でしょ?……あっ」
「そんなに困るようなら言えよ」
「だって……そんなの景吾に迷惑かかるじゃん」
「アーン?自分の女の我が儘くらいどうってことねぇんだよ」
「……景吾」
「わからねぇなら俺様が直々に教えてやるよ」
「でも、」
「まだ納得いかねぇことでもあんのかよ?」
「……本当に迷惑じゃない?」
「当たり前だ。俺様を誰だと思ってるんだ?大体お前は我が儘言わなさすぎなんだよ」
「……ありがと、景吾」

やっと納得したのかは軽くはにかんだ。

「ったく、の所為で結局俺もサボりかよ」
「私の所為にしないでよ」
「お前が俺様の許可なしにサボりやがるからだろ」
「……私探して欲しいなんて思ってないんだけど」
「嘘つけ。本当は探して欲しかったんだろ?俺に困って欲しかったんだろ?違うか?」
「……」

急に黙り込むが可愛くてもう一度彼女の唇を塞ぐ。そうしたら彼女は両腕をキュッと俺の首に回して来る。

「景吾……。好きだよ」
「知ってる」
「大好き」
「それも知ってる」
「愛してるよ、景吾」
「あぁ。俺も愛してるぜ?


お前がサボろうが何しようが俺はお前の傍にいる。だから、困ったときは俺に言え。そのくらいの我が儘なら可愛いもんだって学んでおけ。
ったときは

'09/03