Masaharu Nioh #05


「あれ、雅治痩せた?」

久しぶりにお互いの部屋を繋ぐ鍵のかかってない窓からひょっこりと顔を見せた幼馴染がU-17合宿やU-17W杯で死闘を繰り広げたのは風の噂で聞いていたが、彼は少し会わない間に男の子から男へと成長していた。一目見たその違和感に思わずそんな声が出た。

「はて。何のことじゃ」
「しらばっくれないでよ。前より頬こけてる」
「お前さんを詐欺にかける為のフェイクとは思わんかのう」

相変わらず挑発的な目と物言いだった。ベッドの端に腰掛けた雅治の目の前に立って、その少し痩せたから体に腕を回した。ぺたぺたと元から肉付きの薄い背中を触る。

「……触診ときたか」
「だってこうでもしないと認めないでしょ」
「はぁー……さすが幼馴染じゃな。お前さんを騙すんは骨が折れる」

大袈裟に肩を竦める雅治が吐き出した溜息がくすぐったかった。

「雅治もやっぱり男だねー。どこ触っても硬い」
「そういうお前さんは、どこもかしこもやわっこいのう」

黒いパワーリストの付いた、テニスをする人間にしては色白な腕が腰に回る。合宿の成果か、前よりもがっしりとしたその腕にどきりとした。

「……おかえり、お疲れ様でした」
「プピーナ」

まるで抱き寄せられるような腕に私はそっと体を預けたのだった。


Home Sweet Home

(キミの〈帰る場所〉でありたい)