※会話のみ
『もしもし?』
「こんな時間にどうしたの?」
『タチバナさんさぁ、明日ヒマだったりしねぇ?』
「明日?……暇と言えば暇だけど、」
『じゃあ、テニス観戦でもしねぇか?』
「え?」
『プロの試合のチケット手に入ったんだけど、一緒に行くはずだった先輩が行けなくなっちまってよー』
「あ、そーなんだぁ……」
『で、どうする?』
「んー」
『ちなみにアンタの好きな選手も出てる』
「行く!」
『……現金な女』
「何か言った?」
『いーや、何も。試合会場、この前の全国大会のとこだからそこで集合な』
「うん。……、」
『どうかした?』
「あ、ううん、何でもないよ」
『もしかして杏ちゃん、"デート"期待してた?』
「ばっ!違う、絶対有り得ない!」
『そんな全力で否定しなくてもよくね?……ま、試合見終わったらどっか行こうぜ』
「べっ、別にそんな……!」
『久しぶりに邪魔者なしで会えるんだし、それぐらいはいいっしょ?』
「切原くんがいいなら構わないよ」
『よっしゃ!』
「その代わり切原くんの奢りだからね?」
『そりゃねぇーだろ、タチバナさん』
「嘘、冗談だよ」
『あー、よかった』
「明日楽しみにしてるね」
『俺も楽しみにしてる』
「ん、じゃあ、おやすみなさい」
『あぁ、おやすみ』
とある日、とある時間の
思いがけないラブコール
("アンタの為に取ったチケット"、だなんて柄じゃないわよね)